“ 暮らし手記 ”essay

長月の記

posted:2021.09.01

いつか見た秋

幾多もの季節をこの身で感じ続けても
年々の暑さや寒さに覚えはなく
一度たりとも同じ季節はありません。

季節は八月を迎え九月を招き
夏と秋をまたがって、残暑の中で時を待ちます

涼しさが肌に降る時を待ちわびて
赤く染まる山々を脳裏の中で浮かべれば
それはきっといつか
どこかでみた景色なのでしょう


落花生の塩炊き込みご飯

落花生がではじめました。
私が一番すきな炊き込みといっても過言がない秋の味覚は
落花生の塩炊き込みごはんです。
白米で作ってもよし、もち米で作ってもよし
コリコリとした落花生ともっちりとしたごはんを頬張れば
今年もこの味覚に出会えたことを
幸せだなあ。と、しみじみ思うのです。

作り方

お米2合
水360ミリリットル
塩 小さじ1(使う塩の塩辛さにもよるので、お好みで)

すべて一緒に炊き込んだらできあがり。


十五夜

日本って美しいよね
と、瀬戸内で出会った異国のとある女性が
夜道の月を見て、そう言いました。

だって、今夜月がキレイですね。
が、i love youなんだよ。
との言葉に首を傾げれば

日本の有名なライターだよ。と言われるので
その場で調べてみれば

夏目漱石
という文字が画面に浮かびます。

知らなかった。

ね。日本の文化って本当に美しいでしょ。
という言葉に
ああ。本当に。そうなのだなあ。
と、うなずきました。

異国で生きて来た彼女に、自国の美しさを教わる夜
あの瞬間にからだに吹き抜けた風を、なつかしく思い出す
2021年、それは美しい十五夜でした。

 


彼岸花

夏夜の終わり
線香花火が宙に留まり
そのまま咲いているような
赤く熟れた彼岸花
か細い花弁が散るように
ひらけばたちまちに目を奪う

鮮烈さに目を離せないながらも
すこしの恐ろしさのようなものを感じるのは
あまりにひそやかに咲き佇んでは
気づけば姿を消しているからなのでしょうか