“ 暮らし手記 ”essay

水無月の記

posted:2021.06.20

紫陽花

庭の紫陽花も咲き乱れ
外を歩けば、川沿いに道路沿いに
青、紫、紅色
様々な色の紫陽花が咲き乱れる
花弁の色が移り変わっていくことから
移り気、浮気だなんて花言葉を持つ梅雨時の花

雨上がり
他の花にはないような憂いを放ちながら
ひとしずく、ふたしずく
花弁にたれさがる氷麗のような雫に
うっかり見惚れている今日のひととき


桃の季節

全国的に、静岡の長田地区の桃は
出回ることが早いことで有名です。

六月に入ると甘やかな香りが漂い
軽快に軽トラックが走り去れば
桃の無人販売へと足をはこぶ

形がいびつだったり
すこしの傷ではじかれた
とれたての桃たち

皮をむき、かじりつけば、とびきり甘い

古来より、魔除けに効果的だなんて側面も持つ
可愛くて美味しい

かぶりつくたびに幸せな気持ちになる
今だけの贅沢なおやつです。


六月二十日

今日は父の日だと、思い出した仕事帰り。
慌てて行きつけのケーキ屋さんへ立ち寄り
焼き菓子を手に取る。
フロランタン、フィナンシェ、レーズンクッキー
父が好きな焼き菓子を選び、コンビニへ立ち寄り
プレミアムモルツを一本。

父は、ビールが好物と言いながら
発泡酒をビールだと間違える。

帰宅して早々に手渡し
やっぱりビールはうまいなあと
飲み干した赤い顔に
お疲れ様と声をかける。

焼き菓子を買い、ビールも買い、選挙にも行った。

我ながら上出来でしょう
と、思いながら焼き菓子をかじる
梅雨時、晴れ間の六月二十日。


夏越しの大祓

2021年もあっという間に折り返し地点となり
あと六ヶ月で今年が終わってしまうのか
と、呆然としてしまうこの季節

神社では、夏越しの大祓という神事が行われます

一年の前半を無事にすごせたことを感謝し
この半年間の穢れを祓い
気持ち新たに、清らかな心身でのこり一年を迎え入れる。

茅の輪をくぐり
人形に穢れをのせて
ふうと息を三回吹きかけて

今年半年
健やかに過ごせたこと

のこりの半年
健やかにすごせるように

大切に思う誰かの顔を思い浮かべながら
去年のことを遠い昔のことのように

遠い遠いずっと昔にも
この場所にて
健やかな暮らしを祈り続けてきた人たちがいることに
想いを馳せるとともに

今、自分がこの地で生きていることが
日々の奇跡のように思うのです。


雨はらり

折りたたみ傘を持ち歩く季節になりました。

雨が降る直前
ひやんとした空気が肌を撫で
向かい風が雨を孕み始める時

薄灰色の雲は広がり
鳥たちは低く飛ぶ

風がふいに重くなれば
ぱらぱらと小粒の雨が降り注ぐ

雨に濡れないよう
帰路を急ぐとともに
肌で感じ取れた自分だけの雨予報が当たったと
少し嬉しくなります。