“ 暮らし手記 ”essay

弥生の記

posted:2022.03.01

木蓮

冬溶けの春
思わず目を奪われてしまうのは木蓮です。

樹木といえば、多い茂る葉々が浮かびますが木蓮は違います。
裸の枝に大きな器のような花々が、ぼんぼりのように。

花というよりも果実のような
実りをつける蓮の花

この世のものではない美しさと聞くほどに
私には、木蓮の姿が浮かぶのです。


ふきのとう

先日、山へ出向きふきのとうを見つけました。

春のみどりが茂る足元を眺めながら
あっちにうろうろ、こっちにうろうろ
おだやかな丸い頭を見つけては
プチンとやさしく摘み取ります。

幼い頃、土手に生えるつくしを探し
土だらけになったことを思い出しながら
あたらしい春からの恵みものが
今年も手のひらにやってきました。


春を迎えに

背伸びをして購入したは良いものの
ずっと着ていなかった春のコートを
クローゼットから引っ張り出してきました。

思い切って袖を通せば
なぜか前よりも似合っているような気がしてくる。

その春服かわいいねと、褒められた時は嬉しくて
ついつい手が伸びてしまう。

春の日差しに誘われて
古い自分を新しい日々で超えて行くように

凝り固まったものをはらりと脱いで
お洋服から新しい春を迎えに行きませんか。


冬と春のあいだ御膳

先日、灯建築舎弟の台所にて
ごはんの会を行いました。

集まったのは、わたしを含めてご縁ある三名の方。
多忙の時期を超えて
今こそ食べたい、からだにやさしいごはんをテーマに作りました。

湯気が上がる根菜たっぷりのチゲ鍋
残ったスープは、玄米と卵でお雑炊に。
原木椎茸と春の菜花を付け合わせて

名付けて、冬と春のあいだ御膳です。

冬の寒さに縮こまった体を温めながら
春の薫りを楽しむように
季節の素材の美味しさとともに
誰かと食べるご飯の楽しさを感じたごはん会でした。